迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
過去と向き合う力
「わざわざ、すみません。」
「いや、俺は構わないけど…いいの?バイト中じゃ…」
「今、休憩時間なので…」
「そっか。」
図書館内。
入り口を出てすぐのところにある休憩スペース。
ここだけは飲食可能で、
テーブルや椅子、自動販売機なんかも設置してある。
だから、こうしてバイトの休憩中に利用するのにはちょうどいいんだけど…
実際、あまり活用はされていないみたい。
今も…
時間帯のせいもあるのか、他の利用者はゼロ。
でも、ちょうどよかった。
「…どうぞ。」
近くにある椅子に座るように促しつつ、
私は買ったばかりの缶コーヒーを差し出した。
「ありがとう。」
小さく微笑んで、私からコーヒーを受け取る先輩。
少しだけ距離を置いて、私も隣に腰かけた。
テーブル席もあったけど、向かい合うのはさすがにキツイ。
あまり“似ていない”とは言え、やっぱり“兄弟”。
無意識に、その面影を探してしまうから…
「……話って、何?」