迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*



「先輩……?」



何を言ってるの?

そんなこと言われても…


私は、もう…



「お互いに必要としてるのに、どうして離れるの?」


「それ…は…」



責めるわけじゃない。

あくまで“質問形”。

でも、さっきまでとは違う表情に戸惑う。



「航は…

このままじゃ、ダメになっちゃうよ?」


「え…」


「立花がいなくなったら、アイツはきっと、生きていけなくなる。」



まさか、そんなわけ…



「立花が“支え”なんだよ?」


「え?」


「航は、やっと手に入れたのに…それを失ったら…」



だんだん、先輩の表情が歪んでくる。

哀しそうな、
泣きそうな…


ああ、そうか。

これは、

“お兄さん”の表情、だ。


航くんを想う…



「俺に、こんなことを言う権利はないのかもしれないけど…」



そのまま、先輩は続ける。



「傍に、いてやってほしいんだ。」


「先輩…」


「航を想う気持ちがあるなら、離れないでやってほしい。離れちゃ…いけないんだよ。」



懇願するような言葉に、

私は……



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