迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「あ…当たり前でしょ?」
ぼんやりしていたはずなのに、
茉奈の言葉に、即座に反応してしまった。
自分でもびっくりだけど…
「…そう、だよね。」
さすがに茉奈も驚いたらしい。
一瞬、ぽかーんとしていたものの…
「いつ?」
すぐさま、次の質問をぶつけてきた。
「…え?」
「だから、いつ?
みさきが、初めてキスしたのは…いつ?」
「なっ…」
なんで、そんなことを?
茉奈ってば、今日はどうしちゃったの?
やっぱり、酔ってるのかな…?
ちらりと茉奈を見れば、
確かに頬も目も、少し赤らんでる気はするけど…
その瞳は、しっかり私を捉えている。
「みさき?」
それはもう、
決して逃れることを許さないくらいに、しっかりと。
「中3の…とき。」
……仕方ない。
茉奈のことだ。
こういう席での話はどうせすぐに忘れるだろう。
そう思って、私は正直に答えた…のに。
「中3の…いつ?」
まだ突っ込んでくる。
「中3の終わり…卒業する少し前…「えっ?」
私の言葉を遮って、茉奈は目を見開いた。
「中3になってすぐ、じゃなくて?」