迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
一緒に過ごして。
一緒に出かけて。
一緒にご飯を食べて…
そんなことを繰り返しているうちに、
いつのまにかそれが普通になっていた。
私の日常に航くんがいるのが当たり前。
航くんがいつも、自分の“隣”を用意していてくれたから。
私はそこに収まって、
気づけばそこが、私の“定位置”になっていた。
「うち来る?」
まだつき合っていないときから、私は航くんのお家に出入りしていた。
あの日、保護された警察で。
私はおばさんにも会っていたから。
最初はすごく気まずかったんだけど…
「誰もいないから、大丈夫だよ?」
いいのか悪いのか。
そのときは、おばさんと遭遇する機会はなくて。
休みの日の昼間とか、
私は黙って“居場所”を提供してもらってたんだっけ。
そのとき、
航くんがしてくれることすべてが、私の“救い”になっていた。
でも、それは、
あくまで“後輩”としてのこと。
先輩のときと同様。
そこに“恋愛感情”なんてなかったし、
しいて言えば“友情”?
航くんを“男の子”として意識したのは、
もっとずっと後だから。