迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「…何か、あっただろ?」
悟には何も話してない。
悟以外にも…
俺は、誰にも何も話していなかった。
でも…
「お前は、わかりやすいんだよ。」
「え?」
「隠してても…言わなくてもバレバレ!」
俺には言われたくないかもしれないけどさ、と付け足してから、悟は続けた。
「…先輩と、まだ会ってないのか?」
「っ…!」
「もう、ずっと会ってないだろ?お前。」
なんで、知って…
思わず顔を上げてしまった俺を、“やっぱりな”と言うように見下ろしてから、
「俺は鼻が利くんだよ。
見くびってもらっちゃ困る。」
得意気に胸を張った。
……コイツ。
「だいたい、お前がそんなふうになる原因なんて、みさき先輩以外に考えられないだろうが。」
「…え?」
「お前は、鈍い。とにかく鈍い!だから、滅多なことじゃ傷つかない。」
きっぱり言ってるけど…
微妙に失礼だよな?
「だから、ダメージを受けるとしたら先輩絡みだとしか思えない!……ケンカでもしたのか?」