迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*



「……っ」



冗談まじりに言ってるけど、その瞳から、俺を心配してくれているのがわかる。


悟とは、中学からのつき合いだから。

うるさくてバカだけど、こういうことには敏感で。


いつも、1番近くで応援してくれていた。


だから、たぶん隠すことなんて無理なんだ。



「夏休み中、なんかあったのか?」


「………。」


「途中までは、相変わらずだったよな?おかしくなったのは…終わり頃か?」



購買のパンをかじりながら、悟はぼんやりと呟いた。

……やっぱり、鋭い。



「…ってことは、もうすぐ1ヶ月?!うわっ。ヤバイじゃん!大丈夫なのか?」


「何が?」


「だって…」



妙に慌てた様子の悟。


……わかってるよ。

俺だってわかってる。


だいぶ時間が経った。
…経ちすぎた。


だからもう、ダメなんだってことくらい……



「お前、こんなに我慢したことないだろ?」


「……はっ?」


「もうそろそろ限界なんじゃないの?…“禁欲生活”」



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