迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「……はぁっ?」
……ああ、忘れてた。
コイツはこういうヤツだったよ。
真面目に対応しようと思った俺がバカだった。
「だってさ、お前は年がら年中、やりたい放題だったじゃん?」
なんかもう、聞くのもうんざりだ。
「おばさんが留守がちなのをいいことに、しょっちゅう家に連れ込んで…」
図星なだけに、何の反論もできない。
「俺はいつも心配してたんだからな?
夢中になりすぎた挙げ句、お前がその年で“父親”にでもなったらどうしよう、って…ふがっ!」
自主規制。
悟が持っていたパンを思いっきり口の中に押し込んでやった。
「な…何するんだよっ」
なんとか飲み込んだらしく、涙目で俺を見てるけど…知るもんか。
…ったく。
食事中、しかもこんな…人の集まる教室で言わないでほしい。
ほら…。隣にいた女子のグループが思いっきり反応してるじゃん。
後が面倒なんだよ。後が。
「…んだよ。本当のことじゃん。」
だからって、わざわざ口に出さなくていいから。
じろっと悟を睨んでみたものの…
「案外、それが原因なんじゃないの?」