迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*




「え…?」


「コウちゃんに会えば、みさきちゃんは絶対に元気になるから。」


「俺は…」


「みさきちゃんを治せるのは、コウちゃんだけだと思うの。」



…必死、だ。

“お姉ちゃん”のことを、本当に好きなんだな、ってわかる。



マドカは昔から、
“キョウダイ”というものに憧れていたから。

ずっと、欲しがっていた。


“キョウダイ”を捨てたいと思っていた俺には、

その気持ちを理解することはできなかったけど…



マドカもやっと、

欲しかったものを手に入れたんだな――




「だから、助けてあげて。」



懇願するように、俺の腕を掴むマドカ。



「このままじゃ、みさきちゃんは…」



わかってる。

俺だって、今すぐ救ってやりたい。


今すぐ会って、
抱きしめて。

大丈夫だよ、って
安心させてやりたい。



でも…



「無理…だよ。」


「え…?」


「俺にはもう、無理だから…」



< 251 / 334 >

この作品をシェア

pagetop