迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「え…?」
「コウちゃんに会えば、みさきちゃんは絶対に元気になるから。」
「俺は…」
「みさきちゃんを治せるのは、コウちゃんだけだと思うの。」
…必死、だ。
“お姉ちゃん”のことを、本当に好きなんだな、ってわかる。
マドカは昔から、
“キョウダイ”というものに憧れていたから。
ずっと、欲しがっていた。
“キョウダイ”を捨てたいと思っていた俺には、
その気持ちを理解することはできなかったけど…
マドカもやっと、
欲しかったものを手に入れたんだな――
「だから、助けてあげて。」
懇願するように、俺の腕を掴むマドカ。
「このままじゃ、みさきちゃんは…」
わかってる。
俺だって、今すぐ救ってやりたい。
今すぐ会って、
抱きしめて。
大丈夫だよ、って
安心させてやりたい。
でも…
「無理…だよ。」
「え…?」
「俺にはもう、無理だから…」