迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「えっ…?コウちゃ…」
バシッと。
マドカの手を振り払って。
俺は黙ってその場を立ち去ったんだ。
怒ったわけじゃない。
ただ…やるせなかっただけ。
でも、俺のその態度が、
マドカに大きな誤解をさせてしまったらしい。
それ以来、今の今まで、マドカは俺と目を合わせようともしなかったから――
「………。」
隣をちらっと見れば、俺のあげたジュースを手にマドカは俯いたまま。
微妙な距離を置いて座りつつ、何も話さない。
かと言って、俺から会話を振る気分じゃない。
……失敗したかな?
呼び止めてしまったことを後悔しつつ、
俺はさっきと同じように、アスファルトの上にごろんと横になった。
まぁ、マドカもそのうち、自分から立ち上がるだろう。
飲み終えれば、きっと…
そう思いながら、俺はゆっくりと瞼を閉じた。
「……なんか、あのときと一緒だね。」