迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「みさきちゃん以外としたことある?」
「いや…」
「じゃあ、私があのときキスしてたら、コウちゃんは寝ぼけて間違えたかもね。」
ふふっと。
マドカは楽しそうに笑ってるけど…
何?この話。この展開。
なんで俺は、マドカ相手に…大好きな彼女の“妹”に、こんな話をしなくちゃいけないんだ?
めちゃくちゃ恥ずかしいし、
何より、思い出すのがすごくキツイんだけど…
「あのときは遠慮しちゃったけど…」
そんな俺にはおかまいなしに、マドカの話は止まらない。
「今なら、いいよね?」
「えっ?」
しかも意味がわからない。
「だってもう、コウちゃんには“キスする相手”はいないわけでしょ?」
「…は?」
「みさきちゃんともう会わない、ってことはそういうことなんだよね?」
「それはっ…」
何だろう?
マドカの顔つきが、微妙に変わった気がする。
無邪気な“妹”から、何かを企む“女の子”に。
これは…
「じゃあ、私とキスして?」