迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「やっぱり、ダメなんだよ。」
聞こえてきたマドカの声。
慌てて顔を上げれば…
「コウちゃんは、早くみさきちゃんのところに戻るべきだと思う。」
まっすぐに俺を見つめながら、マドカはきっぱりと言い放った。
え……?
「みさきちゃんじゃないとキスもできないなんて…
コウちゃん、相当重症だよ?」
くすっと。
1度表情をゆるめて、からかうように笑ってから。
マドカは言った。
「コウちゃんには、みさきちゃんが必要なの。
そして、みさきちゃんにもコウちゃんが必要。」
“妹”のマドカはどこにもいない。
まるで子供を諭すような。
大人びた表情。
こんなマドカを俺は知らない。
「だったらもう、
一緒にいるしかないじゃない。」
「……っ」
「2人は、離れちゃダメなんだよ」
それはとてもシンプルで。
だけど、1番正しい解答。
俺は……
「みさきちゃんに会いに行こう?」