迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
……なんで?
なんで、そんな…
こんなときに。
このタイミングで。
なんで、そんなことになるんだろう?
「すいません!総合病院まで…」
学校を出て。
大通りに出て…
ちょうど通りかかったタクシーに飛び乗った。
制服姿の俺を見て、運転手のおじさんは一瞬怪訝そうな顔をしたけど…
車はすぐに走り出した。
病院までは、ここから車で15分ちょっと。
早く――
流れる景色を見ながら、さっきの茉奈さんとの会話を思い出す。
――具合が悪い、とは聞いてたの。
茉奈さんは言った。
――でも、夏の疲れだとばかり…
俺も最初はそう思った。
なのに…
――今、診察中だから。
まだ、はっきりはしてないんだけど、たぶん…
そうだとしたら、
それは俺の“責任”だ。
いつ?なんて振り返ってもわからないけど…
相手が俺であることに間違いはない。
みさきは今……
「あら、航?」