迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*




「ここ…か。」



母さんが教えてくれた病室。

ドアの前に立って、とりあえず深呼吸。



1ヶ月…ぶり?

どういう顔をして、何を言えばいいんだろう?



……って、ダメだ。

ここまで来て、怖じけずいてどうする?




とにかく、会おう。

会わないことには始まらない。



……よし!



意を決して、ドアを開けた……瞬間。




「……あ。」



すぐに目が合った。




「あ…あら?」



俺を見た途端、明らかに“マズイ”と言う顔になって。



「早かったねぇ」



努めて明るく、引きつった笑顔で出迎えてくれた…



「茉奈さんっ!」



俺を惑わせた張本人。



「なんであんな嘘…」


「……何のこと?」


「しらばっくれる気?」



茉奈さんがあんなことを言うから、話がややこしくなって。

挙げ句、母さんにこっぴどくお説教をくらうハメになったんだ。



「茉奈さ「しーっ!みさきが起きちゃう。」



< 271 / 334 >

この作品をシェア

pagetop