迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「え……?」
茉奈さんが座っているのは、ベットサイドにある椅子で。
隣にあるベットには、確かに誰かが横たわっている…って、みさきだ!
「さっき、ようやく眠ったところなのよ。」
ちらっとみさきのほうを見てから、
茉奈さんは立ち上がって、俺のほうに近づいて来た。
「みさきは…?」
ここからじゃよく見えない。
でも…
「今はよく眠ってる。薬が効いてるみたいね。」
茉奈さんの視線の先には、確かにみさきがいる。
「…ごめんね?」
ぼんやりとベットのほうを見つめていた俺に、小さく謝る茉奈さん。
……ん?
「嘘ついたわけじゃないのよ?」
「え…?」
「みさきが倒れて、私はてっきり…」
…ああ。そのことか。
「症状を説明するときにね、“妊娠の可能性は?”って聞かれて、私…」
すぐに、それだ!と思ったらしい。
さすが茉奈さん。
単純な人だからなぁ…
冷ややかな視線を送れば…
「な…何よ。仕方ないでしょ?私だって経験したことないもん。わかんないよ。」
……逆ギレ、だ。