迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
ゆっくりと。
ベットのほうに歩み寄る。
そして、そっと。
覗き込んだ。
「……っ!」
これは…デジャヴュ?
あのときと同じ、だ――
誰もいない。
とにかく静かな空間。
窓から入ってくる風がカーテンをゆらゆら揺らして、
ベットのそばを行ったり来たり。
そこだけ時間が止まっているような…
現実から切り離されてしまったような、なんとも不思議な感覚。
そして、
ベットで眠る、綺麗な綺麗な“お姫様”。
真っ白なシーツに、
ふわっと広がる栗色の長い髪。
胸の辺りで、きちんと組まれた細い指。
あのときよりも、ひときわ美しくなって。
でも、
あのときよりも、顔色は悪く、細く…はるかに弱っている。
それは俺のせい…
だから…
無意識のうちに手を伸ばしていた。
そして、そっとみさきの頬に触れる。
あのときと同じ。
俺はゆっくり、顔を近づけて行った。
そして……
「……ん?」
お姫様は、
目を覚ます―――