迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「………ん?」
俺の“温度”に反応して、
ゆっくりとみさきの瞼が開いて…
「航…くん?」
瞳はすぐに俺を捉えた。
…かと思うと、
「……えっ?」
じわっと。
みさきの目に浮かんだ涙。
「なっ…なんで泣くの?」
わけもわからず慌てる俺に、
「だ…だって…」
涙目のまま、みさきは呟いた。
「ゆ…夢みたいで…」
……え?
「まさか…また、こんな日が来るとは思わなかったから…」
「へっ?」
「こんなふうに、航くんと朝を迎えることなんてもう2度とないと思ってたから…」
ぽろぽろと。
涙をこぼしながら俺を見つめると、
「幸せすぎて…どうしよう?」
この上なく可愛いことを言い放った。
……なんだ?それ。
うわぁ…
俺のほうが“どうしよう”だよ。
なんかもう…
今すぐめちゃくちゃにしてしまいたい。
でもその前に…
「…俺としては、
昨夜のみさきのほうが“夢みたい”だったけどね。」