迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「あのねぇ、ごはんはレンジでおふろは“おいだき”だよ?」
俺の質問は完全に無視。
にこにこしながら俺の手を取ると、
「パパはどっち?みなみがよういしてあげる。」
5歳の“娘”は、そのまま俺をリビングへと誘導し始めた。
「や…、美波。嬉しいんだけど、それよりママは…「おねーちゃん!」
言いかけた俺を遮って。
部屋の奥からもう1人…
「やっぱり、むりだよ。
やってみたけど、ママはおきなかったよ。」
まだまだおぼつかない足取りで、こっちに向かってくる……
「あ!パパっ」
3歳の“息子”。
今日は残業だったから。
いつもよりうんと帰りが遅くなったわけで…
どう考えたって、
2人が起きてるような時間じゃないんだけど…
「ママは?」
子供たちがここにいて、
“ママ”が出てこないのはおかしい。
まさか、
また………?
「ママはねぇ、
えほんのとちゅうでねちゃったの。」