迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
……そんな感じで。
俺の新しい生活は始まった。
先生に挨拶もしたし。
大学内の下見も終えて、なんとなくわかってきた。
まぁ…、講義が始まるのは来週からだし。
まだまだ全然、“ひとり暮らし”に慣れたわけじゃないんだけど…
とりあえず、
今日はコンビニじゃなくて近所のスーパーに行ってみよう。
ドラッグストアとホームセンターもチェックしておかないと…
あれこれ考えながら、中庭を歩いていた…ときだった。
「成海くんっ!」
……え?
突然名前を呼ばれて。
振り返ってみれば…
「ちょっと待って!」
叫んでから。
こちらに向かって、すごい勢いで走ってくる人が見えた。
……誰?
わけもわからず、とりあえず、言われた通りに立ち止まっていれば…
「よかった…間に合った。」
あっという間に、俺の前に到着。
息を切らせながらも、
「これ…」
俺に何かを差し出した。
「忘れ物。」