迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*



おじいちゃんって…


やっぱり“先生”のこと?


そりゃ、確かに先生はもう“おじいちゃん”って呼ばれる年齢だけど…

だからって…



目の前のこの人は、見た感じ俺と同い年くらいだし、

研究室に行くってことは、先生の教え子…だよな?


もしかして、学生はみんなそう呼んでるのかな?


だとしたら…失礼だよ。


いくら親しみを込めたニックネームだとしても、

あの先生を“おじいちゃん”呼ばわりするなんて…



「“おじいちゃん”って…」



若干腹立たしさを感じつつも、ちゃんと確かめたくて。



「先生のこと、そう呼んでるんですか?」


「へっ?」


「だから、この大学では、みんなにそう呼ばれてるんですか?」



ちょっと言い方が刺々しかったかもしれない。



でも、尊敬する先生だから。

俺の命の恩人で…



「え?あぁ!」



少しの間を置いて、彼女は何かに気づいたようにポンと手を叩いた。



「そっか…初対面だったっけ?」

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