迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
……えっ?
なんか、この人、
今さらっと核心に触れなかった?
俺が先生を“尊敬してる”だなんて、一度も言ってないんだけど…
「ふふっ。わっかりやすー」
そんな俺を見て、またしても楽しそうに笑う彼女。
「何を考えてるか、すぐわかる。」
「えっ?」
「全部、顔に出るんだもん。」
…まさか。
そんなはずはない。
今までそんなことを言われたことなんてないし、
どちらかと言えば“わかりにくい”と言われてきた。
だから、
どんなに辛くても苦しくても…誰にも気づいてもらえなくて。
結果的に、先生のお世話にならざるを得なかったわけだし…
「これから楽しくなりそうだな。」
「……?」
「こっちの院にしてよかった。」
院……?
え?まさか…
「私も実はここには来たばっかりなんだ。“大学”じゃなくて“大学院”のほうだけどね。」
やっぱり…年上?
「あ!言っとくけど“コネ”じゃないからね?」
「へっ?」
「今一瞬、思ったでしょ?」
「いや…」