迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*



「うわぁ…大きくなったねぇ。」



玄関を開けて。

出迎えてくれた姿を見て、思わず一言。


だって…



「もう産まれちゃうんじゃないの?大丈夫?」



慌てて駆け寄って、そっと触れた私に、



「大丈夫だよ。相変わらず、まどかは大げさだなぁ。」



呆れつつも、みさきちゃんは柔らかく微笑んでくれた。

うわぁ…

みさきちゃんってば、しばらく見ないうちにまた綺麗になっちゃって。


やっぱりアレかなぁ?

“聖母の微笑み”ってやつ?



「何ヵ月だっけ?」


「んー?9ヶ月。」


「えーっ?じゃあ、やっぱりもう…」


「まだだってば。」



また笑われちゃったけど…



「そっか…。こんなに大きくなっても、まだお腹に入れておかなくちゃならないんだね。」



大変だ。

私には、まだまだできそうにないことだよ。

未知の世界。



「そうだねぇ。でも、たぶんまどかが思ってるほどキツくはないと思うよ?」



言いながら、みさきちゃんはスリッパを出して。

私を中へと促した。



……そうなのかなぁ?



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