迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「あ、いいにおい。」
リビングに入ってすぐ漂ってきた香りに、不覚にも私のお腹が反応してしまった。
「今日はまどかが来てくれたから。ちょっと頑張っちゃった。」
にっこり微笑んで、キッチンへ向かうみさきちゃん。
わぁ…やっぱり、見てるこっちが落ち着かないよ。
「大丈夫?何か手伝うこと…」
みさきちゃんの後について、キッチンに入ってみたものの…
「ない…みたいだね。」
そこには、既に完璧な料理ができ上がっていた。
…さすがだ。
「あ、じゃあ、これテーブルに運んでくれる?」
がっかりした私を見計らったように、手早く盛り付けをしながらみさきちゃんがお皿を差し出してくれたから。
「おっけー!」
私は張り切ってそれを受け取った。
そうだよね。
重いものは私が運ばないとね。
ルンルンとテーブルへと移動中…
「…あ。そこ、微妙に段差があるから気をつけてね。」
みさきちゃんの注意も虚しく…
つまずいたのは言うまでもないけどね。
…あ、でも、
料理は落とさなかったよ?