迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「何か手伝う?」
キッチンへ向かう彼女の後を追う航。
「え……?お風呂はいいの?」
「だって、どうせまだまだかかるでしょ?諦めて、食べてから入るよ。」
言いながら、航は冷蔵庫を開ける。
「涼しい〜っ」
「あ、ちょっと!それはダメだって言ってるでしょ?」
「なんでー?」
「だから……」
2人を、
一緒にいる2人を見るのは初めてだった。
さっきよりも……
声だけのやり取りよりも、苦しい。
見たくはないけど、
見ずにはいられない。
「何すればいい?」
「本当に手伝うの?」
「当たり前じゃん。」
手を洗って、彼女の横に立つ航。
「えーっ…別にいいよ。
航くん、邪魔ばっかりするんだもん。」
不満気に口を尖らせる彼女。
「しないよ。ってか、今までだってしたことないじゃん。」
「してたでしょ?作った端からつまみ食いするし、人が真剣に作ってるのにくっついてきて……」