迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*



「おかえりなさい。」



いつの間に…?

大きなお腹を抱えながらも、素早くお迎えに行ったらしいみさきちゃん。

愛だねぇ…

私は…行かなくていいよね?



「えっ?また買ってきたの?」



玄関から聞こえるみさきちゃんの声。



「うん。可愛かったから。」


「可愛かった、って…
もういいよ。十分だから。先週、お義母さんが買って来てくれたし、聡子さんからも…」


「多いに越したことはないって。」



……ママが言ってた通りだ。

思わず、笑いが込み上げてきた。

だって…



「しかも、また“ピンク”?」


「え?だって“女の子”なら、やっぱりピンクでしょ?」


「や…まだわからないから…」



ふふっ。

まだやってるんだ?



「いや、絶対に“女の子”だよ。」


「なんで?」


「勘。」



言い切れるところがすごい。

みさきちゃんは、性別はあえて聞いてないって言ってたけど…



「調べるまでもなく、絶対に女の子だって。昔から言うじゃん?“一姫二太郎”って」



コウちゃんは、最初からそう信じて疑わない…らしい。


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