迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「あ。マドカ。いらっしゃい。」
リビングに入って。
私の姿を見つけるなり、にっこりと笑ったコウちゃん。
……やっぱりカッコイイなぁ。
つい見惚れちゃうよ。
この若さで、スーツ姿がこんなにサマになるなんて…なかなかいないよ?
何を着ても似合うって言うか…
私にとっては永遠に“王子様”だよ…
「久しぶりじゃん。元気だった?」
「うん!」
「就活はどう?順調?」
「…まあまあ?」
…コウちゃんってば。
相変わらず無邪気と言うか鈍いと言うか…そこ、
今の私は一番触れてほしくないところなんだけどなぁ。
「まぁ、厳しいからねぇ…もし、なかなか決まらないようなら、父さんに当たってみようか?」
「えっ?ホント?」
「あの会社、基本男社会だから、女子社員は受付とか庶務くらいしかないみたいだけど…」
「いい!なんでもいいからお願いします、“お兄さん”!!」
「よし、じゃあ“妹”のためにひとつ…」
早速ケータイを取り出してくれたコウちゃん。
ラッキー。
コウちゃんのお父さんの会社って言ったら…超大手だもんね。