迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*



「航くん、ちょっといい?」



まだまだ続きそうなこの話題。

どうやって切り抜けようかと、頭を悩ませていた…ちょうどそのとき。


タイミングよく、みさきちゃん登場。



「何?どうかした?」



さすが、素早い。

持っていたスポンジを投げ出して。


即座にみさきちゃんの元へ駆け寄るコウちゃん。



「マドカのお布団、用意しようと思ったんだけど…」


「布団?…ああ、そっか。届かないよね?いいよ、俺がやるから。」


「ごめんね?」



みさきちゃんの肩を抱いて、コウちゃんはさっさとキッチンを出て行った。



……助かったぁ。



これ以上突っ込まれたら、さすがに誤魔化しようがないもんなぁ。


いい加減、打ち明けないといけないよねぇ…




洗い物の続きをしながら、思う。





私は、コウちゃんに隠していることがある。


言わなくちゃいけないことが―――





「…ん?これって、残りは全部、私が洗うの?」


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