迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「……あ。」
そこまで言って、ハッとしたように俺のほうを見る彼女。
俺は、慌てて視線を反らした。
「“くっついてきて”何?」
そんな中、またしても意地悪な航の声。
「……なんでもない。」
小さく呟く彼女に、
「えー?気になるから、ちゃんと最後まで言ってよ」
わざとらしく、からかうように促す航。
仲のいいカップルがじゃれ合っている。
傍目に見れば、そういう光景。
たぶん彼女も。
俺に聞かれることを恥ずかしがってはいるけど、気づいてはいない。
「あー、そっか。あのときのこと?
だってあれは、みさきがいけないんじゃん。」
「……なっ。なんで私?」
「可愛い顔して、あんなこと言うから…つい我慢できなくなって、ここで……」
「ちょっ…航くんっ!」
……これは“威嚇”だ。
航の…航なりの、
大事なものの“守り方”なんだ―――