迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
アイツのお姫様
「……あ。お風呂、お先にどうぞ?」
夕飯をすませて。
母さんの強い勧めで泊まっていくことになってしまった俺。
今夜は彼女も“泊まってく”って言うから、断ったのに……
「別にいいんじゃない?
部屋、空いてるし。みさきは俺んとこで寝るから気にしなくていいよ?」
絶対に嫌がると思っていた航がすんなり承諾するもんだから…決定してしまった。
「ホラ、航もああ言ってることだし、もう遅いし……ゆっくりしていって?」
母さんは無邪気に笑って、「朝早いから」と、さっさと寝てしまった。
残された俺を、彼女が風呂へと促したわけで。
「着替えは、今航くんが取りにいってますから。」
柔らかく言って、彼女はそのままリビングのソファーに腰をおろした。
なんだか申し訳ないな…と思いつつ。
でも断るにも断れないまま、俺はバスルームへと向かった。