迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*



灯りを落としたリビング。


液晶テレビに映っているのは、何かのDVDで。


おそらくは“映画鑑賞”でも始めるところだったんだろう。


そう、思いたい。


でも……



それを観ているはずの2人はいない。


いや、いるんだけど……



画面の前。

ソファーに座る2つの影はぴったりと重なっている。


浮かび上がるシルエットが意味するものは……



「……っ」



重なっては離れ、

離れては再び重なる。


彼女の腕は航の首に、しっかりと回されていて。

密着する2人の身体。



「やっ…ちょっ…」



次第に深くなる行為に、抵抗を見せ始める彼女。


それを制して、そのままソファーに沈める航。



「……っ。」



2人の姿は見えなくなって。

その代わり……






……それ以上はさすがに耐えられなかった。


開けかかっていたドアを急いで閉めて、

俺は用意された客間へ駆け込んだ。



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