迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*



つき合っていれば

当然のことだ。


しかも、あの2人の場合、

その期間も長いわけだし。



それでも、やっぱりショックで。

やるせない気持ちになるのは、きっと……




「……まだ、好きだったんだな、俺。」















何度も思った。


あのとき、あのまま2人で逃げてたら……

何がなんでも手放さなければ、今も傍にいられたんじゃないか、って。



あの頃も、


彼女が俺を見ていないことはわかってた。


彼女にとって、俺は“特別”な存在ではあったけど、


俺が彼女に抱く想いと

彼女が俺に抱く感情は


明らかに、違ってた。



それでも、お互いを必要としていたから一緒にいたわけで。


あのまま、一緒に居続けることだってできたはずだ。


ずっと一緒にいれば、
彼女の気持ちだって変化して……


今の航の“ポジション”に俺がいたっておかしくはなかったはずなんだ。



……たとえ、そこに“救い”がなかったとしても。




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