迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
いろいろな制約がある。
母さんはもちろんだけど、
航には、特に。
だから、父さんは航に気軽に会えない。
会いたいのに、会えない。
父さんは、航のことをいつも気にかけていた。
あんな扱いを受けていたから…ってだけじゃない。
航のことは、可愛くて仕方なかったはずだ。
俺なんかより、ずっと。
だって……
「航は、どんなふうに成長したのかな?
やっぱり、母さんに似てるんだろうか…?」
大事な人に、そっくりなんだから――
「……今度、写真撮って来てあげるよ。」
「本当か?」
「うん。近いうちに…」
まるで、子供みたいに嬉しそうに笑う父さん。
母さんも…写真くらい、送ってやればいいのに。
……あ。アイツが撮らせないのかな?
航は、自分の“見た目”が嫌いなはずだから。
すべて、そのせいだと思ってるから。
俺たち兄弟は、全く似ていない。
両親の遺伝子を、見事に、それぞれ別々に受け継いだ…と言う感じ。
父親似の俺と、
母親似の航。
普通だったら、別にたいしたことじゃない。
でも、
あの人の気持ちを助長させるには、十分な要素だったんだ。