迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
……また、か。
何度も聞いた、その言葉。
やっぱり今回も…なんだ。
身体が弱いから、とか。
俺にはまだ早い、とか。
母さんはずっと、別の理由で反対していたけど…
本当の理由は、それだったんだ?
子供ながらに、その言葉ですべてを悟ってしまった。
俺はまた、諦めるしかないんだ…って。
「でもね、母さんは、航には別のことのほうが合ってると思うわよ?」
瞳を伏せた俺を見兼ねて、慌ててフォローし始めた母さん。
「航はあまり身体が丈夫じゃないんだし…お外で長い時間、練習するのは大変でしょ?」
俺の瞳を覗き込んで、柔らかい口調で続ける。
「倒れたりなんかしたら…みんなに迷惑かけちゃうのよ?」
「……」
「だから、お外での運動は…もう少し大きくなって、身体が丈夫になってからにしよう?」
……頷くしかなかった。
“我慢して”って。
母さんの瞳が、必死で訴えていたから…