迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「……ん?」
呼ばれた声に反応して、
俺は浅い眠りから目覚めた。
ゆっくりと瞼を開ければ、なぜか不安気に覗き込む瞳があって…
「大丈夫?」
ふわりと、彼女の細い指先が頬に触れた。
ひんやりとした感触に、
ぴくりと反応する身体。
状況もよく理解できていないくせに、自然と受け入れてしまうんだからすごい。
「俺…寝てた?」
彼女の指をきゅっと握りしめてゆっくり身体を起こしながら、ここに至った経緯を思い出す。
“大丈夫?”って…?
何か心配されるようなことでもあったっけ?
ここはリビングで。
今は夜で。
食事も風呂も済んだ。
俺は…
「…うなされてたから。」
必死に記憶を手繰り寄せていた俺に、ぽつりと呟かれた言葉。
……え?
「さっきから、苦しそうな顔して…何か怖い夢でも見てた?」