迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「えっ?」
ハッとして顔を上げれば、少しだけ潤んだ瞳と目が合った。
なんでそんな顔してるの?
無理って……?
今度は何だ?
やっぱり、まだ頭が働いていないのか…
さっきから彼女の言葉の意味が掴めない。
ものすごく心配されていることはわかるけど…
「そんなに頑張らなくて大丈夫だと思うの。」
俺の疑問はよそに、そのまま続ける彼女。
「まだまだ時間はあるわけだし…今まで通りにやってれば、大丈夫だと思う。」
……ん?
「航くんの今の成績なら、普通に推薦だって狙えると思うし…」
もしかして…
「そもそも、同じ大学にこだわらなくてもいいんだよ?近くだったら、今まで通り、こうして会えるし」
やっぱり?
なんだか、大きな勘違いをされているみたいだ。
そう言えば、
俺のすぐ側には、開きっぱなしの参考書。
手持ちぶさただったから、一応広げてただけなんだけど…
「あのさ、」