迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「……なんで?」
片目だけ開けて、彼女を見上げれば、
「だって…」
顔を赤くしたまま、
恥ずかしそうに瞳を伏せていて…
…そういう顔がヤバイんだよなぁ…なんて思いつつ、
さらにぐいっと、その頭を引き寄せてしまった。
「“だって”何?」
そして、至近距離で覗き込む。
ちょっと動けば確実に触れる…そんなギリギリのところから攻めれば、みさきは絶対に逃げられない。
わかっているからこそ、やってしまうんだよね。
「何が無理なの?…あ。
そんなに難しいことはしなくていいよ?」
「……?」
「触れるだけでいいから。
濃厚なやつは、後で自分からするし。」
「なっ…」
“みさきから”してくれることが大事なんだから。
何年もつき合ってるのに、未だにしてもらったことがないもんなぁ。
なんで、恥ずかしがるのかがわからない。
「みさき?」
甘い声で、ねだるように見つめれば…
「……ここじゃ、無理だよ。」
観念したように、彼女は小さく呟いた。