迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
……最悪。
バッタリ会ってしまった。
「………。」
向こうも同じことを思ったらしく、お互いに無言で立ちつくす。
最初のうちは、挨拶程度に話しかけてきたものの、
俺がことごとく無視してるうちに諦めたのか、今じゃまったく会話はない。
……息苦しい。
さっさと済ませて部屋に戻ろう。
なるべく目を合わせないように通り過ぎて、冷蔵庫の扉を開けた。
視線を感じるけど…気づかないふりをして。
目当てのぺットボトルを掴んで、俺は足早にその場を後にした。
――今は真夜中。
こんな時間に、アイツはいったい何を…あ。
そう言えば、少し前に母さんが帰って来たような音がしたっけ。
今日も飲んできたみたいだし…
愚痴の相手をさせられていたのかもしれない。
…ご苦労なことで。
どうでもいいけど、
あまり不規則な行動は起こさないでほしいんだよね。