迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
俺なりの愛し方
「…お前はいいよなぁ」
ひょい、と。
返されたばかりのそれを俺の手から奪って。
悟はため息まじりに呟いた。
「“天は二物を与えず”って、絶対に嘘だよ」
うんうん、と。
1人で勝手に納得しながら俺のと自分のを見比べている。
「お前の場合、二物も三物も与えられてるじゃん?
見ろ、この差をっ」
そして、見ていた2枚の紙を俺のほうに突き出してきた。
「部活を引退してから、死に物狂いで頑張ってる…にも関わらず“圏外”な俺に対して、」
悟の指差すところを見ればズラリと並んだ“E判定”の文字。
……あーあ。
「勉強よりも“彼女優先”。毎日部屋に連れ込んで、昼夜問わずイチャこいてるお前がこれだ!」
ずいっと。
顔にくっつきそうなくらいに突き出してきたのは、
さっきのとは対照的に、“A判定”の文字が連なった用紙。
……よく見ると“B”も混じってるけどね。
それにしても、何かすごい言われようじゃないか?
「なんで、お前だけこんなに恵まれてるんだ?」