迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「“入試で1番を取る”って言って、推薦蹴ったんだよな、お前。」
……覚えてたんだ?
「そうすれば、入学式で代表挨拶ができるから、って。」
……確かに。
「あれには、さすがに俺も驚いたよ。絶対に無理だと思った。だって…」
ここは、
県下トップの進学校。
県内のみならず、
近隣の地域から、これまたトップクラスの生徒たちが集まる場所。
俺の中学でも、毎年数人受かればいいほうで…
入れればたいしたもの。
そう囁かれていた。
……ダメもとで挑んだ悟が受かったのは、“奇跡”以外の何物でもないけど。
「でも、本当にやっちゃうんだもんなぁ…」
しみじみと。
悟は続ける。
「愛の力強し、ってやつ?
先輩のためなら、お前は何でもできちゃうんだもんなぁ。羨ましいよ。」
「……」
「…で?今回も、また頑張る気なわけ?」