迷子の眠り姫〜sweet kiss〜*下*
「別に、アンタは心配しなくていいから。」
眠っているみさきの様子を窺いながらしゃがみ込んで。
立ち尽くすヤツに背を向けた。
「みさきのことは、俺がちゃんとみてるし。それに…」
すやすやと、気持ちよさそうに寝息を立てるみさき。
綺麗すぎる寝顔を、こんなに無防備に曝されたら、
誰だって触れたくなると思うけど…
「みさきを起こせるのは俺だけだから。」
「え…?」
「アンタには無理。」
それだけ言って、
俺は手を伸ばした。
頬にかかった髪を払ってやれば、
「…ん。」
ぴくりと反応したものの、規則正しい寝息は変わらない。
……ぐっすり、だ。
こうなったら、最後。
自発的に目が覚めるのを待つか、もしくは…
そっと顔を近づけて、
アイツに気づかれないように…
一瞬だけ唇を重ねた。
「……ん?航く…?」