秘密の彼氏
「え~。もう帰るの~?」


残念がる柚に手を振って、私たちはクラブを後にした。


不思議なんだけど、クラブのあの大音量の音が、気にならなくなった。


香水のむせ返るような臭いや、タバコの煙りも、だんだんと自然になるから怖い。


「すっかり暗いね」


街のネオンが、輝く時間になっている。


「ちょっとビックリするかもしれないけど、あんま気にすんなよ」


「え?どういう事?」


「すぐに分かるよ」


竜二は、ちょっと含み笑いをして、私の手を握りしめた。


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