秘密の彼氏
「竜二!」


息は切れ切れで、何とか病院へ辿り着いた。


「愛美!」


「愛美さん!」


ジンに柚、そして高志くんがいる。


「愛美、来てくれたのね」


柚の目は、真っ赤に腫れていた。


「竜二!」


急いで、竜二の元へ駆け寄る。


集中治療室の竜二は、酸素マスクをつけ、腕にはたくさんのチューブがつけられていた。


顔色は相変わらず悪く、息使いも弱い。


「竜二、お願い。置いて逝かないで」


涙が竜二の手に、ポロポロとこぼれ落ちる。


握り締めたその手は温かいのに、少しも反応がない。



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