秘密の彼氏
はあ、はあ…。


こんなに全力疾走をしたのは、たぶんあの“変なおじさん“に追いかけられた時以来だと思う。


重い鉄扉を開けると、竜二の姿が一番に飛び込んだ。


「愛美、早いな~今日は」


「竜二!」


やった!


一番に竜二に会いたかったから、自然と笑みがこぼれる。


「何よ~愛美。竜二ばっか見て」


隣に居た柚が、わざとらしく口を尖らせて文句を言った。


「あっ、ごめん。柚」


ヤバイ。


本当に気が付かなかった。


私、こんなに竜二しか見えてなくていいのかな。


自分で自分に、呆れ笑いをしてしまった。


< 73 / 152 >

この作品をシェア

pagetop