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『バイバイ、綾音』幼き私の頭を優しい手で包み込むように撫でる男の子。

『行かないでよ、悠希』押さえ込んでいた涙が地面に落ちる。

『綾音…』と頭から手を離した。

『五年経てば、また会えるから…だから…』と潤んだ顔で

『待っててくれ。じゃあなっ、綾音』とリュックを持ち上げ、立ち去って行く。

『い…行くな…悠希』と悠人を追い掛けるが悠人には全く追い付く事が出来ない。

『ゆぅ…き…悠希!!!』

「姉ちゃん姉ちゃんてば」とパジャマ姿の弟の勝平が私の体を揺さぶっている。

「勝平……」と体を起こす。

額から大量の汗が流れ出ていた。私は夢をみていたのか?と思い知る。

「姉ちゃん……大丈夫?」と勝平が私の顔を伺ってきた。

「姉ちゃん……あの畠山って言う人と会ってから顔色が悪いけど……」

「畠山」とぼそりと呟く。

「そうだよ。さっきだって悠希、悠希っていいながら魘されてたし……そんなに悠希って言う人を助けたいのなら助けにいけば良いじゃないか!!!」と身を寄せてきた。





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