ふわふわ
「おまえさあ、よく飽きないよな。」
目の前で拓也がポッキーを食べながらいつもの決まり文句を言った。
ここは大学のラウンジ。
講義の空き時間を2人で過ごすのが日課になっている。
俺は夏野 優 (なつのゆう)
工学部に通う大学3年生。
特にずば抜けて
かっこいいわけでもなく
お洒落なわけでもなく
社交的なわけでもない。
ただ、子どもの頃から
運動神経がいいことだけが
取り柄なだけ。
恋もそれなりにしてきたし
彼女がいたこともあるし
告白だってされたこともある。
けど、俺は今とてつもなく
片想いをしている人がいる。
それが、中野 春(なかのはる)だ。