1分と31秒のとびら。
こういう場面で、私は自分の"力"の無意味さを痛いほど味わう。

1分31秒戻したって、何の役にも立たない。

最初からこんな"力"なんてなければ、こんな思いをすることもないのに・・・



「ひよりのせいじゃないよ」



「・・・・・・うん、でも・・・」



もし私にもっと"力"があれば、救えた命でしょ?

そう思うと、こんな"力"なんて意味ない、そう思わずにはいられない。



由紀は何も言わずに、また自転車を加速しはじめた。

そして、私たちの家の中間で自転車を止める。




自転車から降りた由紀は私の方を振り返らないまま、話し始めた。



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