1分と31秒のとびら。
数歩あった距離はいつの間にかなくなっていて、優しい手が私の頬を撫でた。



「好きだ」



「・・・・・・私も、好き」



「うそ」



「私も嘘つかないよ」



「そうだな。つかないっていうか、つけないしな」



ひどいよって言いたかったのに、言えなかった。

由紀の唇がそれをさせてくれなかったから。


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