1分と31秒のとびら。
部屋にはハサミを使う音と色鉛筆を動かす音、それから私の心臓の音がする。

そんな中、由紀が急に立ち上がったもんだから、悲鳴を上げそうになった。



「ゆ、由紀?」



由紀は何も言わず、椅子に座ったまま固まっている私の後ろに立つ。
そして、突然、抱きしめられる。



「ゆ、ゆ、由紀?」




「・・・ひより、ひよりの全部俺にちょうだい」




え、えっと・・・それって、その・・・そういう意味だよね?きっと。


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