1分と31秒のとびら。
「そうですか。練習の邪魔になるのでもう少し離れて――」



「ひより?」



いつの間にかプールサイドに上がっていた由紀が私を見つけて声をかけてくれた。

ちらっと女の子の顔を見たら・・・明らかに笑顔の中に苛立ちが混ざっている。


私は逃げるように由紀がいる方へ近づく。




「どうしたの?何かあった?」



「ううん・・・ちょっと見学」



由紀はフェンス越しに優しい笑顔を向けてくれる。

・・・今、すっごい幸せかも。


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