1分と31秒のとびら。
茶色くて丸い子犬は小さな岩の上で震えていた。

急に増水したせいで岸に戻れなかったのだろう。



(あっ!)

『あっ!!』


恐ろしさで後ずさりしたせいで子犬が足を滑らせて水の中に落ちると、その流れの中であっという間に姿が見えなくなる。



(そうだ。ここで私は"力"を使って・・・)



時間を戻した私は、ふらふらする頭で一直線に川の中へと向かった。

岩まではそう遠くない。

流れに体を持っていかれながらも私は諦めずに進んだ。


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