1分と31秒のとびら。
無事子犬を抱きかかえて、岸にいる由紀に渡した瞬間、緊張の糸が切れたのか私は意識を失う。

"力"を使った直後に無理をしたせいだろう。


『ひより!!ひより!!!!!』


流されていく私に由紀が慌てて呼びかける。



(あ、そっか、この時はまだ由紀は泳げなかったんだ)



『くそぉ!!待ってろひより!!人呼んで来るから!!!』



(結局、近くにいたおじさんに助けてもらって、救急車で運ばれたんだっけ)



幼い由紀の悔しそうな顔が目に焼きついて離れなくなった。


(もしかして、これが原因で水泳を始めたとか?・・・まさかね)

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